A New Anorectal Melanoma Cell Line Derived from a Primary Human Rectal Tumor. Seiichi Shinji, Yuuki Shichi, Takeshi Yamada, Goro Takahashi, Ryo Ohta, Hiromichi Sonoda, Akihisa Matsuda, Kazuhide Yonaga, Takuma Iwai, Kohki Takeda, Koji Ueda, Sho Kuriyama, Toshimitsu Miyasaka, Yoshibumi Ueda, Norihiko Sasaki, Kimimasa Takahashi, Ryuji Ohashi, Toshiyuki Ishiwata, Tomio Arai, Hiroshi Yoshida. J Nippon Med Sch. 2022 Aug27;89(4):368-376. doi: 10.1272/jnms.JNMS.2022_89-402.
直腸肛門部悪性黒色腫は術前診断が難しい予後不良の稀な疾患です。40 歳の日本人男性の直腸腫瘍から、直腸肛門部悪性黒色腫の培養細胞株を樹立しました。外科的に切除された直腸肛門部悪性黒色腫はS-100、HMB-45、Melan-AおよびNSEが陽性で、典型的な組織学的形態を示していました。樹立した直腸肛門部悪性黒色腫の培養細胞株のMELS 細胞は円形から楕円形で、細胞膜に鋭いとげのような突起がみられました。通常の二次元培養では多数の浮遊細胞とともに、接着した不規則な形態のコロニー形成がみられました。透過型電子顕微鏡では、MELS 細胞の細胞質にメラノソームが観察され、免疫細胞化学染色でも、MELS 細胞と手術で得られた組織は同じ染色パターンを示しました。 MELS細胞は大腸癌細胞株のCaco-2細胞 や皮膚の黒色腫細胞株のA375細胞よりも低い増殖率を示していました。抗がん剤のオキサリプラチンとイリノテカンは、Caco-2 細胞や A375 細胞に比べ、MELS 細胞でより有効でした。直腸肛門部悪性黒色腫の培養細胞株は今までに報告がなく、MELS 細胞は直腸肛門部悪性黒色腫の特徴の解明や治療方法の開発に重要な役割を果たすことが期待されます。