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コラム

がんになりにくい動物の秘密 ~その① ゾウ~

ゾウは陸上最大の哺乳類で、体重も細胞の数もヒトの100倍ほどあります。もし、どの細胞も同じ確率でがんになるならば、ヒトよりゾウの方ががんになる確率は高いのでしょうか?実際はそうではなく、ヒトよりゾウの方ががんになりにくいことが知られており、このような矛盾を「ピートのパラドックス」といいます。

ゾウががんになりにくい理由は徐々に解明されてきています。哺乳類が共通してもっているがん抑制遺伝子にTP53というものがあります。この遺伝子は傷付いた細胞を修復し、修復できない細胞は破壊します。ヒトはこの遺伝子を2個もっていますが、ゾウは約40個ももっていることが分かりました。

ゾウががんになりにくい秘密はこれだけではありません。多くの哺乳類がもっている遺伝子でLeukemia Inhibitory Factor (LIF)というものがあります。この遺伝子は生殖能力と関連することが知られており、ゾウは複数もっているものの、ほとんどが機能していません。しかし、その中で再び機能をもって復活した遺伝子があります。この遺伝子はLIF6と呼ばれ、ゾウの体が大きく進化する過程でまるでゾンビのように復活しました。LIF6は傷付いた細胞を破壊し、TP53と協力することでゾウをがんから守っています。