コラム
加齢とがん ~その①~ がんと良性腫瘍とは?
腫瘍(しゅよう)は体の中にできた細胞のかたまりで、1個の細胞に異常がおこり、その細胞が勝手に増え続けるものです。腫瘍はその性質により「がん」(悪性腫瘍とも呼ばれます)と良性腫瘍に分けられます。良性腫瘍は、最初に腫瘍ができた臓器(原発巣と言います)で異常な細胞が増え、細胞のかたまりが大きくなります。良性腫瘍は異常な細胞が他の臓器へ移動して、細胞のかたまりを作ることはありません。一方で「がん」は、最初に腫瘍ができた臓器の血管やリンパ管にがん細胞が侵入して流れに乗り、他の臓器やリンパ節でがん細胞がふえてかたまりを作る、がんの転移(てんい)を起こします。転移がおこった臓器にはがん細胞のかたまりが多数作られ、その臓器のもともとの働きができなくなってしまい、命を奪われることもあります。
図はPANC-1細胞という膵臓がん細胞が、穴の中に入り込み移動しようとしている電子顕微鏡像です(遊走能の実験。がん細胞を青色に着色)。私達は、このような実験でがん細胞が動くしくみを明らかにし、がんの転移を抑える治療法を開発しようとしています。
次回は「ひらがなのがんと漢字の癌、肉腫の違い」についてです。