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コラム

がんになりにくい動物の秘密 ~その② カピバラ~

げっ歯類は世界で最も種類の多い哺乳類であり、南極大陸を除くほぼすべての島に棲息しています。げっ歯類の中には体重が5gほどのコビトハツカネズミから、50kgにもなるカピバラまで、その大きさはさまざまです。小型のネズミの一万倍もの体重があるカピバラはがんになりにくいことが分かってきました。では、どうしてがんになりにくいのでしょうか。

カピバラの遺伝子には他のげっ歯類と比べてより活性化している領域があります。その遺伝子のひとつがMAGEB5です。この遺伝子は正常の細胞では機能せず、腫瘍化した細胞で働き始めます。その結果生じた物質が目印となり、免疫細胞に発見されやすくなります。さらにGZMBという遺伝子も活性化していることが分かっており、この遺伝子から得られた酵素は免疫細胞が腫瘍化した細胞を壊すための武器になります。

カピバラは大型化に伴う発がんのリスクを抑えるために、このような進化を遂げたと考えられます。                        志智優樹(研究員・獣医師)