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コラム

異国の研究室でできなかったこと

現在、米国などに研究留学する日本の若い研究者が減少しています。私がカリフォルニア大学に留学してからすでに30年近く経ちますが、当時気づいたことや興味深く思った点について書いてみたいと思います。

留学中、米国や欧州からの研究者たちのように、どうしてもできなかったことが3つありました。

  • 教授を下の名前で敬称なしに呼ぶこと

多くの人が親しみを込めて、教授の下の名前を敬称なしで呼んでいました。本人の前でも普通にそうしていましたが、私はどうしても抵抗があり、最後までできませんでした。私はずっと「Dr. 〇〇」と呼んでいました。

  • 教授の問いに「No」と答えること

毎日、少なくとも一度は教授が実験室にやってきて、各研究者に声をかけていました。いつも「何か新しいことはない?」と尋ねられるのですが、欧米の研究者は平然と「No」と一言で返していました。私は「No」とは言えず、英語で「今日はこんな実験をしていて、結果が出るのはいつ頃」と長々と説明してしまいました。よく言われるように、「No」を言うのは本当に難しいですね。

  • Tシャツで研究室に行くこと

カリフォルニアでは、ほとんどの研究者がTシャツ姿で研究室に来ていました。私も家やプライベートではTシャツとジーンズで過ごしていましたが、仕事に行くという意識が強く、最後まで襟付きのポロシャツで通しました。

「郷に入っては郷に従え」という言葉がありますが、できるだけカリフォルニアの習慣に慣れようと努力していたものの、どうしてもできなかったことがいくつかあり、それが強く印象に残っています。     (T. I)