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膵臓がん研究

がん幹細胞と正常幹細胞における糖鎖の比較(総説)

Comparison of functional glycans between cancer stem cells and normal stem cells. Sasaki N, Itakura Y, Gomi F, Hirano K, Toyoda M, Ishiwata T.  Histol Histopathol. 2019 Apr 26:18119. doi: 10.14670/HH-18-119.

がん幹細胞 (Cancer Stem Cell/CSC) は、腫瘍内に少数存在しており幹細胞性(自己複製能と多分化能)を有し、がんの進展を促進します。がん幹細胞は、従来の治療法に対する耐性やがんの再発に重要な影響を及ぼしますが、詳細な特徴は未だ明らかではありません。がん幹細胞は、新たながん治療の標的と考えられています。これまでに、糖鎖を含む多くの細胞表面マーカーが、がん幹細胞の同定と分離に使用されてきました。細胞表面の糖鎖は一部の細胞の良く知られたマーカーで、細胞シグナル伝達の調節などの重要な役割も果たしています。胚性幹細胞や組織幹細胞などの正常の幹細胞では、未分化状態の糖鎖マーカーが特定されています。これらのマーカーは、主に幹細胞性の維持に必要なシグナル伝達経路を調節していることが知られています。一方で、がん幹細胞に特有の糖鎖は未だ明らかとなっていません。この論文では、がん幹細胞と正常な幹細胞における、糖鎖を介したシグナル伝達経路についての機能的な共通性を紹介しています。 がん幹細胞に特有の糖鎖の同定は、がんの早期診断と根治的治療につながる可能性があると考えています。