Alcoholics show reduced telomere length in the oesophagus. Junko Aida, Akira Yokoyama, Naotaka Izumiyama-Shimomura, Ken-ichi Nakamura, Naoshi Ishikawa, Steven SS Poon, Mutsunori Fujiwara, Motoji Sawabe, Masaaki Matsuura, Tomio Arai, Kaiyo Takubo. J Pathol. 2011; 223: 410-416.
食道や口腔の扁平上皮がんを持つヒトは、がんのないヒトより非がん部の上皮のテロメアが短く、染色体不安定性が増加しています。今回、テロメアを短縮させる原因を検討するために、アルコール症患者(アルコール多飲者)の食道上皮について、テロメアを測定してみました。アルコール症患者では食道がんが多発します。その結果、アルコール症患者の食道上皮はテロメアが短縮していました。従って、過度のアルコール摂取はテロメアを短縮させることを証明しました。食道がんにならないようにするためには、アルコールの過剰な摂取は避けなくてはいけません。J Pathol は、現在病理学領域で最もインパクトファクターの高い雑誌で、この雑誌に論文が掲載されグループ全員は大喜びしました。また、この論文の内容は共同通信社を通じて、全国の日刊紙の記事となりました。
図1
図2
解説:
食道のヨード染色後の内視鏡像。ヨード染色を行なうと、正常上皮(上;図1)であれば、一様に全体が褐色に染まります。しかし、多くのアルコール症患者では、まだらです(下;図2)。まだら食道のテロメア長は短く、染色体の不安定性の存在を示しています。(J Pathol 2012;223: 410-416)