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コラム

基礎研究が、膵臓がん撲滅の鍵となる

米国の基礎医学研究に対する投資額は莫大で各分野の研究者も多く、これまでに多くの病気の治療法の開発に寄与してきました。しかしながら米国を中心に行われてきた、この数十年間の膵臓がん研究でも治療に繋がる大きな成果は得られていない状況です。これからの膵臓がんの基礎研究は常識にとらわれない仮説をたて、今までとは違ったアプローチをする必要があり、さまざまな智慧や工夫が求められています。

数多くの基礎研究の中から数万分の1の確率で新薬が誕生し、基礎の発見から患者さんに新薬が届くまでの期間は10年以上かかると言われています。気が遠くなるような数字ですが、今、膵臓がんの基礎研究に向き合わなければ今後も治らない患者さんが増え続けてしまいます。私が25年前に研究を始めた時には膵臓がんは私より上の世代の方々の病気でしたが、今は自分の世代の病気となってしまいました。今、膵臓がんの基礎研究の重要性を再認識し将来に向けて本気で取り組まなければ、私達だけでなく次の世代をも脅かす病気になってしまうと危惧しています。

一つ一つ着実に基礎研究の成果を積み上げて行くことで、膵臓がんを治す鍵を発見する確率が上がり膵臓がんを治せる日が来ると私達は信じています。他の分野の研究者や若手研究者にも、積極的に膵臓がん研究に参画して欲しいと願っています。一方で、近年は膵臓がんの若手研究者を取り巻く環境や膵臓がんの基礎研究を行う研究室の状況も費用や人材確保の面で、年々厳しさを増しています。是非、皆様にも膵臓がんの撲滅に向け、ご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。