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染色体FISH法による研究

18番染色体トリソミー、21番染色体トリソミー(ダウン症候群)新生児でテロメア短縮は起こっていない

Ken-ichi Nakamura, Naoshi Ishikawa, Naotaka Izumiyama, Junko Aida, Mie Kuroiwa, Naoki Hiraishi, Mutsunori Fujiwara, Atsushi Nakao, Tadashi Kawakami, Steven SS Poon, Masaaki Matsuura, Motoji Sawabe, Tomio Arai, and Kaiyo Takubo. Telomere Lengths at Birth in Trisomy 18 and 21 Measured by Q-FISH. Gene 2014 Jan 1;533(1):199-207.

21番染色体トリソミーが原因であるダウン症候群は、テロメア短縮による染色体不安定性(染色体癒合や欠失)が誘因となることが強く疑われています。また、早老症を呈することで知られるダウン症候群においてテロメアは正常者と比べ急速に短縮するとの報告がされています。しかしながら、出生直後のテロメア長に関する報告は今迄ありませんでした。今回私達は、核型正常2倍体、18番染色体トリソミーおよび21番染色体トリソミーの3群の新生児の末梢血リンパ球の染色体ごとのテロメア長をQ-FISH法により計測しました。その結果、1)トリソミー責任染色体のテロメアは全染色体平均テロメア長と細胞内で比較して有意差はないこと、2)トリソミー群と二倍体群との群間比較でテロメア長に差は認められないこと、を明らかにしました。また、テロメア長既知の細胞(TIG-1)を検体スライド上に展開して同時に測定することにより、検体のテロメア長の正確な校正値を得る手技を確立しました。以上のことから、短縮テロメアは受精後の発生中のリプログラミングにより補正的に伸長されて正常域にあること、テロメア短縮を来さないように患児を生後管理することの重要性が示唆されました。