業績一覧

サザンブロット法による研究

ヒト下垂体テロメア長は百寿者に至るまでよく保存される

Naoshi Ishikawa, Ken-Ichi Nakamura, Naotaka Izumiyama,Junko Aida, Motoji Sawabe, Tomio Arai, Hiroshi Kishimoto,  Mutsunori Fujiwara, Akio Ishii, and Kaiyo Takubo. Telomere length dynamics in the human pituitary gland: robust preservation throughout adult life to centenarian age. AGE 2012; 34: 795-804

病理解剖された患者様(0〜100歳)から得られた下垂体のテロメア長をサザンブロット法で検出し、加齢に伴うテロメアの変化を解析しました。その結果、下垂体のテロメアは新生児期では諸臓器中で最も長く、年間短縮率も他臓器と比べ(大脳灰白質を除き)最も小さいことがわかりました。つまり、他の臓器と比較して生涯を通じて最も長いテロメアを持っていることを明らかにしました。テロメアの短縮は新生児期から60歳までの間に起こりその後は有意な減少は起こらないこと(むしろ高齢者ほど長くなる傾向を示す)、細胞の増殖期のマーカーであるKi-67が陽性である細胞は、胎児期から新生児期にかぎられることもわかりました。以上から、下垂体でのテロメア短縮は生後早期のうちに起こることが推測され、個体特有のテロメア長の指標として有用であると考えられます。また、細胞内や染色体内で差の大きなテロメアの長さの代表値について検討し、サザンブロット法によるシグナル強度のピーク値と中央値(median)がよく相関すること、平均値(mean)は、ほぼ一定の幅で中央値(median)より大となるため、両者それぞれから求めた年間短縮率はほぼ同じになることを明らかにしました。これらのデータはこれ迄に世界中の研究室で蓄積されたテロメア長データを比較するうえで重要な基礎データを提供することになります。