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組織切片FISH法による研究

病理解剖128症例の下垂体の標本を用いて、組織Q-FISH法で下垂体の前葉、後葉のテロメア長を測定

Hiraishi N, Terai M, Fujiwara M, Aida J,Izumiyama-Shimomura N, Ishikawa N, Tomita K, Matsuda Y, Arai T, Takubo K, Ishiwata T.Quantitative fluorescence in situ hybridization for investigation of telomere length dynamics in the pituitary gland using samples from 128 autopsied patients. Tissue Cell. 2018 Aug;53:1-7.

病理解剖を行った128症例(男性65症例、女性63症例)の下垂体の検体を使って、組織Q-FISH法で下垂体の前葉(腺性)、後葉(神経性)のテロメアの長さを測定しました。その結果、下垂体の前葉と後葉の間にはテロメアの短縮において、大きく三つの新しい現象が明らかにされました。一つ目は、下垂体の前葉は加齢と共にテロメアは短縮する(細胞分裂する)のに対し、後葉は短縮しない(細胞分裂しない)ことがわかりました。二つ目は、女性の後葉のテロメアは、男性と比較して有意に長いことがわかりました。三つ目は、80〜90歳代の症例の下垂体の検体は70歳代の検体と比較して、テロメアが長い傾向にあることがわかりました。このことは、従来から言われていることですが、長いテロメアを持つヒトの方が寿命が長いことを裏付けることになります。

この論文は、組織Q-FISH法で下垂体のテロメアの長さを測定することにより、下垂体の前葉と後葉のテロメアの短縮に関する新規の知見の報告になります。この研究は、将来的に一般的な医療となる再生医療の中で、一番難しいとされるホルモン産生細胞の細胞治療の開発に大きく貢献することになると考えられます。