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膵臓がん研究

長鎖非コードRNA, H19の発現を減少させることで膵癌の転移を抑制

Reduced expression of the H19 long non-coding RNA inhibits pancreatic cancer metastasis. Yoshimura H, Matsuda Y, Yamamoto M, Michishita M, Takahashi K, Sasaki N, Ishikawa N, Aida J, Takubo K, Arai T, Ishiwata T. Lab Invest. 2018 Jun;98(6):814-824. doi: 10.1038/s41374-018-0048-1.

H19は胎児期や膀胱癌、乳癌、胃癌、肝癌、前立腺癌や膵癌などで発現が報告されている長鎖非コードRNAです。この研究で、ヒト膵癌細胞を移植したマウスの肺転移巣において移植前のヒト膵癌細胞と比べてH19が82.4倍も増加していることがわかりました。肺転移巣で10倍以上増加しているRNAは11種類でしたが、H19は2番目に増加しており、唯一のタンパクを産生しない非コードRNAでした。H19を増加させた膵癌細胞は移動能が亢進し、逆にH19を減少させると移動能が抑制されることがわかりました。H19を減少させたヒト膵癌細胞をマウスに移植すると、肝転移と肺転移が著明に抑制されることが明らかになりました。ヒト組織での検討で、H19の発現が17%の膵癌患者さんにみられることから、H19が転移に重要な役割を果たしており、H19の抑制が新たな膵癌治療法となる可能性が示唆されました。