業績一覧

サザンブロット法による研究

ヒト心筋細胞のテロメア長は加齢と心疾患で短縮する

Masanori Terai, Naotaka Izumiyama-Shimomura, Junko Aida, Naoshi Ishikawa, Motoji Sawabe, Tomio Arai, Mutsunori Fujiwara, Akio Ishii, Ken-Ichi Nakamura, & Kaiyo Takubo. Association of telomere shortening in myocardium with heart weight gain and cause of death. Scientific Reports 2013; 3: srep02401, http://www.nature.com/srep/2013/130809/srep02401/full/srep02401.html

病理解剖を行った530人の患者様から心臓の壁の筋肉(心筋)のDNAを抽出し、サザンブロット法を用いてテロメア長を測定した結果、心筋のテロメアは加齢によって短縮することを証明しました。さらに、テロメア長のデータを死因別(がん、心疾患、それ以外の疾患)に比較した結果、死因が心疾患の患者様の心重量は、がんやそれ以外の疾患の患者様と比較して増加していました。さらに、死因が心疾患である患者様の心筋のテロメアはがんの患者様と比較すると短縮していました。以上の結果をまとめると、(1)加齢に伴い心筋のテロメアは短縮すること、(2)心疾患により心臓の重量は増加すること、(3)死因が心疾患の心筋のテロメアは、がんと比較して短縮していることが判明しました。 今回の論文の注目点は、心疾患における心重量の増加とテロメアの短縮との関連です。高血圧など心臓に対して負荷がかかると心筋細胞の肥大がおこることは良く知られていますが、それ以外にも、従来から存在が指摘されていた心筋の組織幹細胞が活性化する可能性や、すでに分化していて分裂しない細胞といわれてきた心筋細胞が分裂する可能性も推察されました。テロメアの生物学により、心筋細胞の肥大、組織幹細胞を含めた心筋細胞の再生の機構が解明され、将来的にはiPS細胞や間葉系幹細胞などにを用いた細胞移植医療による心疾患の治療や、予防法の確立などの研究の進展に大きく貢献できると確信しています。