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バレット食道腺がんは噴門腺型粘膜から発生する

Cardiac rather than intestinal-type background in endoscopic resection specimens of minute Barrett adenocarcinoma. Kaiyo Takubo, Junko Aida, Yoshio Naomoto, Motoji Sawabe, Tomio Arai, Hiroaki Shiraishi, Masaaki Matsuura, Christian Ell, Andrea May, Oliver Pech, Manfred Stolte, Michael Vieth. Hum Pathol. 2009; 40: 65–74.

欧米ではバレット食道腺がんが急速に増加して深刻な問題となっています。日本でも増加傾向にあると言われています。正常食道は舌などの口腔粘膜と同様に扁平上皮により覆われています。バレット食道は粘膜が腸類似(腸型粘膜)や胃類似(噴門腺型粘膜)の円柱上皮に置き換わっている状態を言います。バレット食道腺がんの発生母地は腸型粘膜とされていました。この考えはドグマでした。しかし、ドイツ人の粘膜切除術検体の研究から、噴門腺型粘膜からより多く発生することを証明しました。この論文と他グループからのコホート研究により米国消化器病学会(AGA)のバレット食道の定義は、2012年から我々の主張に沿った形に変更される可能性があります。そうすれば日本食道学会と英国消化器病学会の定義と同様になることとなります。現在、すでにAGAのバレット食道の定義には、粘膜の種類と関係なく円柱上皮化食道でもよいとする追記があります。バレット食道を持つ患者様に行われていた意義の乏しい多数の生検の実施を防ぎました。同時に日本の消化器病学、食道学のレベルの高いことを証明できたと考えています。