膵臓がん研究

がん幹細胞研究

がん幹細胞は自己複製能と、多分化能を持っています。がん幹細胞は通常はあまり増殖しないため、抗がん剤や放射線治療が効きにくく、がん幹細胞が生き残るとがんは再発してしまいます。また、がん幹細胞は動きやすい性質があり、がん周囲の血管やリンパ管に侵入して移動し、他の臓器にがんの転移をおこすと考えられています。

がん幹細胞には、他のがん細胞に比べて特に多く発現しているがん幹細胞マーカーと呼ばれるタンパクが知られています。がん幹細胞マーカーはがん幹細胞の目印になることから、がんの早期診断やがん幹細胞を標的とした治療に役立つと考えられています。

私達は膵臓がんについて、①がん幹細胞マーカーの発現と役割、②がん幹細胞の形態学的特徴の解析、③がん幹細胞の抗がん剤耐性や糖鎖解析、④がん幹細胞に有効な薬剤の探索などの研究を行なっています。

論文業績紹介

  • ヒト膵癌細胞株MIA PaCa-2に髙発現するガングリオシドGM-2は成長・浸潤に関与する

    Sasaki N, Hirabayashi K, Michishita M, Takahashi K, Hasegawa F, Gomi F, Itakura Y, Nakamura N, Toyoda M, Ishiwata T. Ganglioside GM2, highly expressed in the MIA PaCa-2 pancreatic ductal adenocarcinoma cell line, is correlated with growth, invasion, and advanced stage. Sci Rep. 2019 Dec 18;9(1):19369.

  • 3次元培養により上皮系または間葉系性質を有する膵がんの形態、機能の相違が明瞭となる

    Enhanced morphological and functional differences of pancreatic cancer with epithelial or mesenchymal characteristics in 3D culture. Shichi Y*, Sasaki N*, Michishita M, Hasegawa F, Matsuda Y, Arai T, Gomi F, Aida F, Takubo T, Toyoda M, Yoshimura H, Takahashi K, Ishiwata T. *co-first author. Sci Rep. 2019 Jul 26;9(1):10871. doi:10.1038/s41598-019-47416-w. PubMed PMID: 31350453; PubMed Central PMCID: PMC6659675.

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    本論文では膵がん細胞を立体的に培養(3次元培養)し、人体内に類似した環境で膵がん細胞の形態と機能的な特徴を解析しました。その結果、①通常の接着培養下で膵がん細胞には上皮様の性質を示すがん細胞と、間葉系の性質を示すがん細胞の2種類が存在することがわかりました。②上皮様の膵がん細胞は3次元培養で、球形の浮遊細胞塊(スフェア)を形成し表面を覆う扁平ながん細胞が認められました。上皮様の膵がん細胞には分泌顆粒や微絨毛が多く、Cytokeratin 7、トリプシンなどを発現しており正常の膵臓細胞への分化がみられました。細胞増殖マーカーのKi-67はスフェア周囲を被覆する扁平ながん細胞にのみ認められ、増殖極性が確認されました。③間葉系の性質を示す膵がん細胞は3次元培養で、不整形のスフェアを形成し分化成熟傾向は乏しく、Ki-67陽性細胞はスフェア全体にびまん性に分布し増殖の極性は認められませんでした。④上皮様性質を示す膵がん細胞のPK-1細胞は、Smad4が免疫染色で陰性で、TGF-β1の投与により上皮間葉転換(EMT)が誘導されませんでした。⑤間葉系性質を示す膵がん細胞のPANC-1細胞はSmad4が陽性でTGF-β1投与によりEMTが誘導されました。3次元培養により、膵がん細胞の上皮間葉系性質の違いが明瞭になりました。膵がん細胞の上皮様形態と機能の保持には、TGF-βシグナル伝達系が関与していることが示唆されました。3次元培養を用いた研究は多様性を有する膵がんの個別診断や、個別治療法の開発に有用であることが明らかになりました

  • 血清を含む培地で培養されたヒト膵癌細胞のスフェアは大型で、癌幹細胞マーカーの発現も増加している

    Fetal bovine serum enlarges the size of human pancreatic cancer spheres accompanied by an increase in the expression of cancer stem cell markers. Sasaki N, Toyoda M, Hasegawa F, Fujiwara M, Gomi F, Ishiwata T. Biochem Biophys Res Commun. 2019 Jun 18; 514 (1): 112-117,doi: 10.1016/j.bbrc.2019.04.117.

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    低接着性のプレートで膵癌細胞を培養すると、スフェアと呼ばれる浮遊した癌の細胞塊が形成されます。通常、epidermal growth factor (EGF)とfibroblast growth factor -2 (FGF-2)を加えた無血清培地で培養することで、癌幹細胞を多く含むスフェアができると考えられています。私達は、膵癌細胞を10%ウシ胎児血清の入った培地で培養すると形態は同様で、よりサイズの大きなスフェアが形成されることを見出しました。PANC-1とPK-1というヒト膵癌培養細胞を血清入り培地で培養すると、両者とも大きなスフェアを形成し、PK-1細胞ではスフェアの辺縁が扁平な癌細胞に被覆されていました。癌幹細胞に多く発現する癌幹細胞マーカーの発現レベルは、半数の癌幹細胞マーカーが増殖因子入り培地で高く、半数が血清を含む培地で高いことが明らかとなりました。これらのことから血清を含む培地で培養したスフェアにも癌幹細胞は多く含まれており、癌幹細胞の解析や癌幹細胞に対する治療法の開発に重要であると考えています

  • がん幹細胞と正常幹細胞における糖鎖の比較(総説)

    Sasaki N, Itakura Y, Gomi F, Hirano K, Toyoda M, Ishiwata T. Comparison of functional glycans between cancer stem cells and normal stem cells. Histol Histopathol. 2019 Apr 26:18119. doi: 10.14670/HH-18-119.

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    がん幹細胞 (Cancer Stem Cell/CSC) は、腫瘍内に少数存在しており幹細胞性(自己複製能と多分化能)を有し、がんの進展を促進します。がん幹細胞は、従来の治療法に対する耐性やがんの再発に重要な影響を及ぼしますが、詳細な特徴は未だ明らかではありません。がん幹細胞は、新たながん治療の標的と考えられています。これまでに、糖鎖を含む多くの細胞表面マーカーが、がん幹細胞の同定と分離に使用されてきました。細胞表面の糖鎖は一部の細胞の良く知られたマーカーで、細胞シグナル伝達の調節などの重要な役割も果たしています。胚性幹細胞や組織幹細胞などの正常の幹細胞では、未分化状態の糖鎖マーカーが特定されています。これらのマーカーは、主に幹細胞性の維持に必要なシグナル伝達経路を調節していることが知られています。一方で、がん幹細胞に特有の糖鎖は未だ明らかとなっていません。この論文では、がん幹細胞と正常な幹細胞における、糖鎖を介したシグナル伝達経路についての機能的な共通性を紹介しています。 がん幹細胞に特有の糖鎖の同定は、がんの早期診断と根治的治療につながる可能性があると考えています。

  • 膵がんのがん幹細胞:その特徴と検出方法(総説)

    Ishiwata T, Matsuda Y, Yoshimura H, Sasaki N, Ishiwata S, Ishikawa N, Takubo K, Arai T, Aida J. Pancreatic cancer stem cells: features and detection methods. Pathol Oncol Res. 2018 Oct;24(4):797-805. doi: 10.1007/s12253-018-0420-x. Epub 2018 Jun 8. Review. PubMed PMID: 29948612.

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    がん幹細胞 (Cancer Stem Cell/CSC) は多分化能と自己複製能を有するがん細胞で、腫瘤の形成に重要な役割を果たしていると考えられています。がん幹細胞は、膵がん(Pancreatic Ductal Adenocarcinoma/PDAC)の発がんや転移、抗がん剤や放射線治療への抵抗性にも関与しています。がん幹細胞を分離、同定する主な方法として以下の3つの方法が現在広く用いられています。①がん幹細胞マーカーと、②低接着プレートで培養して形成されるスフェア(浮遊細胞)、③細胞内から細胞外への薬剤排泄ポンプ機能が高いSide Population (SP)細胞です。膵がんのがん幹細胞マーカーとしてはCD133, CD24, CD44, CXCR4, EpCAM, ABCG2, c-Met, ALDH-1, nestinなどが知られています。一方で、どのマーカーが膵がんのがん幹細胞に特異的なのかや、がん幹細胞にはこれらのマーカーが単独で発現しているのか複数が同時に発現しているのかなど未だ明らかではありません。がん幹細胞を分離して、その特徴を解析することはがん幹細胞に特異的な治療法の開発に繋がり、膵がんの予後の向上に寄与すると考えられます。この論文では、膵がんのがん幹細胞の特徴とその検出方法について紹介しています。

  • 長鎖非コードRNAのH19は膵癌のスフェア形成と、CD24およびインテグリンを介した浸潤に関与する

    H19 long non-coding RNA contributes to sphere formation and invasion through regulation of CD24 and integrin expression in pancreatic cancer cells. Sasaki N, Toyoda M, Yoshimura H, Matsuda Y, Arai T, Takubo K, Aida J, Ishiwata T. Oncotarget. 2018 Oct 5;9(78):34719-34734. doi: 10.18632/oncotarget.26176.

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    私達は、以前H19というタンパクに翻訳されない長鎖非コードRNAが膵癌の転移に重要な役割を果たしており、H19の発現を減少させることで膵癌の転移を抑制できることを動物実験で報告しました。この研究では、H19がどのような機序で、膵癌の転移に関与しているかを研究しました。その結果H19はインテグリンとCD24を介して、膵癌細胞の接着を促進することがわかりました。H19の過剰発現膵癌細胞株に、インテグリンβ1抗体を投与することで、膵癌細胞のスフェア形成や浸潤能が低下しました。この研究でH19が膵癌の癌幹細胞の自己複製や浸潤能に重要な役割を果たしており、これにより膵癌の浸潤転移を促進していることを解明しました。H19が今後、膵癌の転移抑制に向けた新たな治療標的となると考えています。

  • 長鎖非コードRNA, H19の発現を減少させることで膵癌の転移を抑制

    Reduced expression of the H19 long non-coding RNA inhibits pancreatic cancer metastasis. Yoshimura H, Matsuda Y, Yamamoto M, Michishita M, Takahashi K, Sasaki N, Ishikawa N, Aida J, Takubo K, Arai T, Ishiwata T. Lab Invest. 2018 Jun;98(6):814-824. doi: 10.1038/s41374-018-0048-1.

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    H19は胎児期や膀胱癌、乳癌、胃癌、肝癌、前立腺癌や膵癌などで発現が報告されている長鎖非コードRNAです。この研究で、ヒト膵癌細胞を移植したマウスの肺転移巣において移植前のヒト膵癌細胞と比べてH19が82.4倍も増加していることがわかりました。肺転移巣で10倍以上増加しているRNAは11種類でしたが、H19は2番目に増加しており、唯一のタンパクを産生しない非コードRNAでした。H19を増加させた膵癌細胞は移動能が亢進し、逆にH19を減少させると移動能が抑制されることがわかりました。H19を減少させたヒト膵癌細胞をマウスに移植すると、肝転移と肺転移が著明に抑制されることが明らかになりました。ヒト組織での検討で、H19の発現が17%の膵癌患者さんにみられることから、H19が転移に重要な役割を果たしており、H19の抑制が新たな膵癌治療法となる可能性が示唆されました。

  • 3D培養によって、幹細胞性と抗がん剤耐性を示すABCG2高発現膵癌細胞が誘導

    Stemness and anti-cancer drug resistance in ATP-binding cassette subfamily G member 2 highly expressed pancreatic cancer is induced in 3D culture conditions. Sasaki N, Ishiwata T, Hasegawa F, Michishita M, Kawai H, Matsuda Y, Arai T, Ishikawa N, Aida J, Takubo K, Toyoda M. Cancer Sci. 2018 Apr;109(4):1135-1146. doi: 10.1111/cas.13533.

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    薬剤排泄に関与するABCG2の、膵癌の癌幹細胞との関連について検討しました。セルソーターによってヒト膵癌細胞をABCG2陽性細胞と陰性細胞に分けると、ABCG2陽性細胞は膵癌細胞の10%程度でした。ABCG2陽性の膵癌細胞は予想に反し、抗癌剤に対する耐性能が高くないことがわかりました。さらに、ABCG2陰性の膵癌細胞の方がスフェア形成能や癌幹細胞マーカーの発現が高く、細胞増殖能や移動能も高いことが明らかになりました。次に3D培養を行なったところ、ABCG2陰性の膵癌細胞から多数のABCG2陽性の細胞を含むスフェアが作られました。これらのABCG2陽性細胞からなるスフェアは癌幹細胞マーカーの発現が高く、抗癌剤に耐性であることがわかりました。2D培養でみられるABCG2陽性細胞には幹細胞性や悪性能は少ないものの、3D培養で形成されたABCG2陽性細胞のスフェアは幹細胞性が高く、抗癌剤耐性であることが明らかになりました。これらのことから、ABCG2陰性の膵癌細胞にはABCG2陽性の細胞を作る能力があり、ABCG2陽性の膵癌細胞の悪性能は周囲の環境によって変化すると考えられました。

  • ヒト膵癌のスフェアを形成する癌細胞の電子顕微鏡による解析

    Electron microscopic analysis of different cell types in human pancreatic cancer spheres. Ishiwata T, Hasegawa F, Michishita M, Sasaki N, Ishikawa N, Takubo K, Matsuda Y, Arai T, Aida J. Oncol Lett. 2018 Feb;15(2):2485-2490. doi: 10.3892/ol.2017.7554.

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    癌幹細胞は自分と同じ細胞を作ることができる自己複製能と、様々なタイプの癌細胞を作る多分化能を持つ特別な癌細胞と考えられています。癌幹細胞は化学療法や放射線治療に抵抗性を示し、発癌や癌の転移、再発に重要な役割を果たしています。低接着プレート上で癌細胞を培養すると、スフェアと呼ばれる浮遊細胞塊が形成され、このスフェアの中には多くの癌幹細胞が含まれていると言われています。しかし、スフェアの微細構造についてはほとんど報告がないため、ヒト膵癌細胞のPANC-1細胞のスフェアを走査型電子顕微鏡(SEM)と、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察しました。1週間後に形成されたスフェアは接着状態で培養したPANC-1細胞に比べて、nestin, Sox2, CD44v9等の癌幹細胞マーカーが多く発現していました。SEMによる観察ではスフェアはぶどうの房状の形態を示しており、癌細胞の表面は平滑のものから凹凸のあるものなど様々でした。TEMの観察では、癌細胞の表面は平滑なもの、不規則な大きな突起のあるもの、突起と少数の微絨毛のあるもの、多数の微絨毛に覆われているものの4種類が認められました。スフェア内のこれらの膵癌細胞の形態変化が、癌幹細胞からより分化した癌細胞への分化段階を示している可能性があると考えています。

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がんの上皮間葉転換研究

上皮細胞と間葉系細胞はそれぞれが分化した細胞で、お互いの細胞に変化することはないと考えられてきました。しかし近年、胎児の発生段階や、創傷治癒の過程で上皮細胞が間葉系細胞のような形態と性質に変化することがあることが解明され、「上皮間葉転換(じょうひかんようてんかん)/EMT」と呼ばれています。

近年、がん細胞もEMTをおこすことが明らかとなり、がんの転移や再発、抗がん剤耐性に重要な役割を果たしていることが報告されています。私たちはEMTの制御が新たな膵臓がんの治療法となる可能性を考え、EMTの機序の解明と、抗がん剤耐性について研究を進めています。

論文業績紹介

  • ヒト膵癌細胞株MIA PaCa-2の培地中に浮遊する細胞の性質を解析

    Sasaki N, Gomi F, Hasegawa F, Hirano K, Fujiwara M, Ishiwata T. Characterization of the metastatic potential of the floating cell component of MIA PaCa-2, a human pancreatic cancer cell line. Biochem Biophys Res Commun. 2019  https://doi.org/10.1016/j.bbrc.2019.11.11.120

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    MIA PaCa-2細胞は65才、男性の膵管癌から樹立された細胞株で、タイムラプスで経時的に観察すると、プレートに接着した紡錘形のMIA PaCa-2細胞が球形となり細胞分裂して、紡錘形にもどることがわかりました。一方で、一部のMIA PaCa-2細胞には球形のまま存在したり、プレートから剥離して浮遊する細胞もあることが明らかとなりました。この浮遊細胞をflow cytometryで検討したところ約90%が生存しており、浮遊細胞の一部は再びプレートに接着し、紡錘形細胞に変化することを発見しました。このように、細胞の形態を変化させる培地中に浮遊している細胞の性質を解析しました。浮遊細胞は接着細胞に比べ、細胞外基質との接着を担うインテグリン類の発現、薬剤耐性を担うATP-binding cassette (ABC) transportersの発現が低下していました。一方、vimentin以外の検討したepithelial to mesenchymal transition (EMT)マーカーは高発現していました。浮遊細胞はG2/M期の細胞比率が接着細胞より高く、遊走能や細胞間接着は接着細胞よりも低いという特徴がありました。さらに、三次元培養下で浮遊細胞は接着細胞よりも抗がん剤(gemcitabine, 5-FU, and abraxane)に感受性が高いことがわかりました。浮遊細胞はEMT markerが高いところから、今後の転移研究に役立つ可能性があり、3次元培養下で抗がん剤への耐性が低いことからは、細胞の浮遊化に伴い抗がん剤耐性を低下する機構が存在するため、この機構を研究することにより新たな治療方法が見つかる可能性があると考えています。同一細胞でさえ様々な性質を示すという事は、癌という形態的にも機能的にも異なる細胞集団には著しく異なる性質の細胞が混在しており、今後の膵癌研究は、この多様性を考慮すべきであることを強く示しています。

  • 正常細胞とがん細胞における線維芽細胞増殖因子受容体-2(FGFR-2)の選択的スプライシングの役割について(総説)

    Ishiwata T. Role of fibroblast growth factor receptor-2 splicing in normal and cancer cells. Front Biosci (Landmark Ed). 2018 Jan 1;23:626-639. Review. PubMedPMID: 28930565.

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    高齢者がんを含むさまざまながん細胞には1型から4型の線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR-1~4)が発現しています。なかでもFGFR-2は発がんやがんの進展に重要な役割を果たしていることが報告されており、がんの新たな治療標的として注目されています。FGFR-2は膜貫通型の増殖因子受容体で、細胞外ドメインの選択的スプライシングによりIIIbIIIcのバリアントが存在しています。FGFR-2 IIIbは口腔、食道、胃、大腸、膵臓、肺、乳腺、子宮、前立腺などの上皮細胞に、主に発現しています。一方、FGFR-2 IIIcは間葉系細胞や上皮間葉転換(EMT)をおこした細胞に発現することが報告されています。FGFR-2 IIIbIIIcに結合する線維芽細胞増殖因子(FGF)の種類が違うことから、がん細胞への作用も変化すると考えられています。近年の研究で、FGFR-2 IIIbからIIIcへの変換が、がんのEMTに伴う悪性度の増加と関連していることが報告されています。この総説では、がん細胞におけるIIIbIIIcバリアントの発現と役割、制御機構とEMTの関連について紹介しています。

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